

4Cの弊害とは?
これまでに述べてきたように4Cとは、ダイヤモンドの評価基準のことです。これをおろそかにすると、ダイヤモンド選びに支障をきたすことが多いのです。
かといってジュエリー店の4Cの説明を鵜呑みにしているだけではダイヤモンドの良し悪しは決してわかりません。まず、自分の見た目が一番。最も正確なのは、あなたの見る目です。
4Cには、あなたのダイヤモンド選びを補完する役割があると思ってください。
4Cのグレードはあくまで品質表示の参考
4Cに弊害があるといえば、皆さん驚くでしょう。一つひとつのダイヤモンドはキャラットの単位で重量表示されていて、クラリティやカラー、カットがグレードによって決定されています。
このうちグレードは最上クラスのものからランクづけが決定されているため、自分の見ているダイヤモンドが最上のランクから見てどんな状態なのか、ということにもとらわれやすいと言えます。
たとえば「あまり下のランクであれば、いいダイヤモンドではないのだろうか」、「少し下にランクづけされたダイヤモンドでいいのだろうか」、「いいランクのダイヤモンドにこだわらなければならないのか」、「いいグレードにこだわるのは当たり前なのか」など。悪いものだといけないという不安感や、良いものでないといけないという脅迫観念がつのります。そして、日本人特有の中間くらいであればいいのではないかと・・・要するに、自分の目でダイヤモンドを見た判断よりも、鑑定書に記載された4Cのグレードにとらわれてしまうのです。
多くのジュエリーショップのオーナーや店員に4Cのグレードの説明を受けると、この傾向はさらに加速しがちです。そして、考えている予算をジュエリーショップに打ち明けたとき、その方向性はより決定づけられたものになりますし、選ぶことのイニシアティブさえ受け渡すことになります。これは、ジュエリーショップ側の責任であるというよりは、受け身で婚約指輪を購入しようとしていることに問題があると言えます。
このようなことが、4Cのグレードの弊害であると言っておきたいのです。
おふたりの選ぶ婚約指輪へのこだわりは、4Cのグレードによって生み出されるものではなくて、自分たちが認めるダイヤモンドの大きさや品質、指輪のデザインと予算であるのではないでしょうか。4Cのグレード表示はあくまで、品質表示の参考として補完的にとらえておくのがいいでしょう。
同じグレードのダイヤモンドでも個性は違う
4Cの中でグレード間の違いだけでダイヤモンドを見てしまうと陥りやすいことがほかにもあります。
おおざっぱに言うと、明るく輝く石から暗めに輝く石までのさまざまな石がありますが、同じグレードの石でもプロポーションの状態や内包物や産地の違いなどによって個性が違うので、石の輝きも違って見えるということです。
もし、そうでないとすると、ダイヤモンドは石そのものを見比べて購入する必要性が薄れてくるのではないでしょうか。カットやカラー、クラリティのグレードによるダイヤモンドの違いだけを見ておけばいいのですから。
ところが、実際には同じグレードでもさまざまなダイヤモンドがあるのです。
同じジュエリーショップの中で同じグレードのダイヤモンドをいくつか見比べることのできる機会にはなかなか恵まれないと思います。そこで実際に前後するグレードのダイヤモンドを合わせてご覧になれば、そのことがわかるかもしれません。
ただ、同じ傾向の石ばかりを取り揃えている店だと、その差が分からないこともあるので他店でもいろいろと見ておくことをおすすめします。間違えないでほしいのは、店によって照明の明るさや種類が違うので、いい環境で見るダイヤモンドの輝きにはごまかされないことです。ジュエリーショップにはデイライトがありますから、できればその下で見ることをおすすめします。
ダイヤモンドを見比べてみると、同じグレードでもさまざまな違いをみせるダイヤモンドがあることがお分かりになると思います。グレードのいいダイヤモンドがあなたにとっていいダイヤモンドなのかどうかは一概には言えません。
あなたが選んだ彼女の喜ぶお気に入りの婚約指輪が見つかれば何より最高です。きれいなダイヤモンドを手にする喜び。これをふたりで実感してもらいたいのです。